前述したように北アイルランドはイギリスで、隣り合わせのアイルランドは独立国だということを今回初めて知った。地図でみると小さな島なのに。
そう言えば若い頃に北アイルランド紛争という言葉をよく聞いたことを思い出した。簡単に調べてみようと思ったが簡単ではないので僕が要約してみる。
北アイルランドもアイルランドも元々イギリスの植民地だったが、独立戦争が起きた際北アイルランドはイギリスの一部として残ることを望み、南部は独立したアイルランド共和国となった。
アイルランドの分断を決定付けたのはカトリック教徒とプロテスタント教徒だ。
1998年(最近ではないか!)ベルファスト協定が調印され北アイルランドはようやく和平への道を歩み始めたとある。
有史始まって以来多くの紛争や戦争が宗教がらみだ。
僕個人は宗教は必要悪だと決定づけている。
しかし信教の自由は認めている。そして信仰心は好きだ。
誰もが愛と平和を願っていると信じているから。
そんなベルファストの街を三人で!散策することにした。
何という偶然か、リバプールから乗船した店の客と一緒だ。
彼は北丸雄二さんといいジャーナリストであり作家だ。
客の祐介さんから北丸さんを紹介してもらい彼の著作「愛と差別と友情とLGBTQ+」を読んだ。ニューヨーク支局長など在ニューヨーク25年という肩書が彼の著作にはありLGBTQに関する視野の広さが、歴史、文学、映画など多岐にわたり書かれている。この本はお勧めです。
北丸さんは今回この船に水先案内人として招かれており講演などを行う。
水先案内人とは各国の著名人達が様々な専門分野の講演をする人達だ。
北丸さんはリバプールから乗船しニューヨークまで船内で講演する。
彼が乗船することは知っていたが、たまたま弘嗣がデッキで見かけ僕が声をかけて一緒にベルファスト散策になったわけだ。
港から送迎バスで街の中心部ドネゴール・プレイス通りに向かう。
かつて造船業で繫栄したという重厚な建築物が当時を思わせる。
特に宮殿のような市庁舎は日本の国会議事堂より立派に見える。
そしてグランド・オペラハウス(知ってる演目をやっていたが忘れた)ここは重厚というより可愛らしく見えた。
次に向かったのがセントジョージズマーケット、ここは市場が好きだという僕のために弘嗣が調べてくれた。ここは気に入った!
大きな建物の一階が全てマーケットで魚、肉、野菜など庶民の台所でもありコーヒーやハンバーグなどくつろげる店、そして手作りの芸術作品、生演奏まであり飽きる事がない。北丸さんはワインとチーズやパンを買っていた。
いつまでもいたかったが次に行かねば。
マーケットの近くのバスに乗り「タイタニック博物館」に向かった。
あのディカプリオ主演のハリウッド映画「タイタニック」のタイタニック号は20世紀初頭にこのベルファストで造られ昨日行ったリバプールから出航した。
タイタニック博物館は建物自体巨大な船を思わせる造りで中はまさしくアトラクション型造船所だ。
タイタニックを造船している当時の作業をエレベーターに乗ったりトロッコに乗ったりで人形や映像が働いている様子を見ることができる。
上下の動きや斜めもあるのでその巨大さを体感出来る。
乗客達当時の映像もありイギリスの紳士淑女達が素敵な帽子を被りまさしく映画そのままだ。
このピースボートで見るジャージやTシャツの人はいない。
僕が好きだったのはガラス張りの下に深い海があり底に沈んでいるタイタニック号を見る。照明も効果音も深海を思わせる雰囲気でゾクッとした。
夕食はイギリスに来て何度も聞かされていたフィッシュアンドチップスにした。
美味しいと評判だという店を弘嗣が見つけ三人で行った。
魚の鱈(デカい)を揚げてポテトチップスを添えたものだ。
イギリスを代表する料理で長い歴史をもつ国民食だと言う。
僕には何だかナア!だった。
昼間は晴れていたのに夜は小雨だが船は大揺れでデッキも閉鎖。
北丸さんと飲もうと言っていたワインパーティーも中止。
ビュッフェもあっちでガタガタこっちでガタガタ時々突き上げるようなおおきな音。警笛が何度も鳴る。
乗船して初めての揺れで廊下も伝い歩きだ。
早めに寝ることにしたがタイタニックの祟りか!寝付かれない。
ベッドも突き上げ部屋のコップも床に置く。
この巨大なピースボートが沈没する夢をみたら何だかドキドキしてゆっくり眠れた。