いよいよ今回の旅で期待していた一つシンガポール動物園だ。
シンガポールは今回で4度目だが海からの入国は初めてだ。
一度目は親父と45年前になるかな? トランジットの関係か一泊だけした。その頃新しい法律で路上にゴミを捨てると罰金、たばこ、唾、痰なども入る。今も変わらないという。
夕方メイン通りを散歩すると新宿通りと変わらないデパート街 伊勢丹だか三越もあった気がする。
つまらない街だという印象。
二度目は佐藤建造君と行った。初めてから数年後僕は気がすすまなかったが今度は二泊三日期待した。
その頃シンガポールは物に税金がかからないというので世界のバーゲンセールとも言われていた。
ブランド品が好きな建造君は何故か前と同じメイン通りで嬉々としてあちこち覗いた。
一緒に付き合いながら僕はシンガポールからマレーシアは近くマレーシアの隣国はタイだ。僕の好きなタイのプーケットはマレーシアに近いはずだ。プーケットに近いマレーシアの海ならきれいなはずだ。
僕はこういうことだけ回転が早い。
近くの旅行会社で拙い英語で色々聞く。建造君と相談する。
結果 翌日の午前のバスで僕は一人で橋を渡り国境を越えてマレーシアに入り 国境に一番近い海辺のホテルに着いた。建造君はもう少しいたいので夕方のバスで来るという。新宿のようなデパート街が嫌いで海が見たいという僕のわがままに建ちゃんが合わせてくれた。因みに大抵の旅行の場合僕の必需品はシュノーケリングセットと耳かきだ。
ホテルに着くとすぐにホテルのプライベートビーチに向かう。昼過ぎなのに誰もいない。
太陽はいい感じだ。海はプーケット程ではないがサンゴもあり熱帯魚も泳いでいる。
やったー!と思いながら熱帯魚を追う。
ふと海岸を見るとビーチの先の山から何かが蠢いている。何!何! よく見ると猿だった。
へえ猿かと少し感動していたが 次に大急ぎでビーチに戻る。
僕のTシャツと短パンとタオルとペットボトルが危ない。声を出して追い払うが遠巻きに見ている。
僕はもう!と思いながら荷物に重い石を乗せて海に戻る。暫くして振り返ると山から続々と猿が降りてくる。ざっと15匹 もっとか。
僕は石を持ち上げて硬い木の実を割る賢い猿を思い出し そして猿の惑星 ビーチには僕と猿の軍団だけ。身の危険を感じ早々に引き上げた。夕方ホテルで建ちゃんと合流。
翌日熱帯の森を散策する。小川と小さな滝もある。朽ちたあずまやがありテーブルとイスもある。
用意してきた弁当を食べることにする。あずまやを覆う木々の隙間から強い木洩れ日が射すが風は心地良い。露店で買った弁当はエスニック料理。美味い!と 突然ギャー! そしてギャーギャー 木々が揺れ何かが降りてくる。驚いて見上げていると足元に猿 いつに間に! 二人して大声で追い払うが歯向かってくる。これはまずいと僕は弁当を片付ける。建ちゃんは棒切れを持って大声で蹴散らしている。ふと見ると猿と同じ剥きになって歯をむき出して真剣に追っ払っている。不覚にもちょっと笑ってしまった。
夕方のバスでシンガポールに戻り翌日帰国した。

また脱線 次は三度目のシンガポールから