くまぐすのいえと読む。
南方熊楠(みなかたくまぐす)と言う僕が今までに聞いたこともない粘菌(ねんきん.初耳)の
採集と研究をした人物の半生の話だ。
和歌山県には彼の顕彰館もあり熊楠邸は国の登録有形文化財にもなっているという。
その人物の後半生を劇作家小幡欣治がかき丹野郁弓が演出だ。
かつて菊田一夫演劇賞特別賞も受賞したという。

この手の自伝物は出来事だけを並び立て説明劇になる場合が多いが、この作品は人物像の肉付けが
しっかりしており研究の過程や生活感があり、熊楠を知らなくても明治、大正、昭和と生き抜いた一人の
人間として、笑いあり涙ありで楽しむことが出来た。
さすが民芸、役者、装置、小道具、衣装に至るまで新劇の王道を観た気がした。
個人的には、息子熊弥の顕微鏡が手に入る異様な喜び様と息子に菌を投げ捨てられた熊楠の嘆き様が
好きだった。

観劇した夜、熊楠の従弟役の堺賢一さんと村人の入れ墨男吉田正郎君が来店してくれた。
堺ちゃんは30年程前になるだろうか、新宿の女傑と言われていた「あんこ」と言う店で働いていた。
クマさんという愛称で親しまれ、僕もサラリーマン時代クマさんだったので親近感をおぼえていた。
もう60歳になったかな? くりっとした目で童顔なので未だに年は分からない。
童顔の割にはかなりの頑固者か(笑)
その夜 泥酔していたが大丈夫だったかな?
吉田君もまたね。
26日までガンバ!