社交ダンスにかつて生徒も持っていたという熊木さんが個人レッスンをしてくれることになった。
社交ダンスもカネフラも激しいダンスではないのでZUMBAと言う激しいダンス教室に初めて行き汗だくになった。
食事は相変わらずたらふく食べた。  一年一組 水島文夫

以前読み終えた「厭な物語」の気になった「フェリシテ」の話。
彼女は美人でも若くもなく街中を歩く孤独な娼婦だったが 慎ましい性格だったので近所の人も刑事たちも挨拶を交わすぐらいの好意は持っていた。
彼女も以前は人並みに贅沢や憧れもあっただろうが 今はそんなことはすっかり諦めて、ただもう生きていくだけで満足していた。
ある晩四十五、六の人のよさそうな男に優しく声をかけられた。
それから二年間男は毎週土曜日夕方5時~7時まで通い食事を取りとめのない話をして帰っていく。彼女は幸福だった。
ある晩男は彼女に別れを告げる。
「君のお陰で家庭というものの良さがわかったので、結婚することにしたよ」と百フラン札一枚置いて「これでいい着物でも買いなさい」と帰っていった。

彼女はまた独りぽっちになった。
「仕事に行かなくちゃ」とは思うが立ち上がる気力もなく六階の窓に肘をついてぼんやり街を見下ろしている。
「ああ、厭だ、、、厭だ、、、」日はとっぷりと暮れてしまった。
「ああ、厭だ」とため息をついて無造作に、何の未練もなく、「あ」といったなり六階の窓から跳び降りた。

*要約して書いたが僕はこの短編が好きだ。
 彼女は生きていくだけで満足していたのに。
 幸福を知らなければ、、、とも思うし
 幸福を知って良かった、、、とも思う。