今日も快晴でテラスからの朝の光が眩しい。
相変わらず島影はなく水平線の向こうは青空だけ。かもめが数羽飛んでいて眺めていると時折海面に突っ込む。魚を獲っているのだろう。よく見えるなと感心する。
その様を上から眺めていると平安な気持ちになる。
時差の連絡があり今7:07が6:07 一時間の時差だ。台湾近くと思われる。
今日は体験社交ダンス初心者向けのスケジュールだけにした。

喫煙所はプール脇の奥にあり屋根はあるが囲いはない。灰皿4つと椅子が15脚程。初日から利用しているが広い船内喫煙所はここ一か所だという。僕達の部屋は12階、プールと喫煙所に通じている。
客室は5階からだからヘビースモーカーは大変だ。
喫煙所が最初の社交場だということを吸わない人は知っているだろうか?
ツアー旅行の時もそうだし 芝居の時もそうだ。顔合わせが終わって稽古に入り最初の休憩時間の喫煙所から個々の挨拶が始まる。
今回もそうだ。僕もすでに数回通っているが親しくなった人も多いようだ。僕は話しかけたことはなく話しかけられないように海を見ている。知らない人同士数人づつ「出身は?」「初めてですか?」などと盛り上がっている。僕は知らんぷりして海を見ながら暇に任せて自問した。人見知りをしない僕が何故積極的に加わらないのか? そして可笑しくなった。
46年間 初めての客も常連客にも話しかけるチャンスをうかがい 同時に客の話を聞き 僕を独り占めしたがる客を上手にあしらったり 先ずは話しかけて盛り上げて楽しんで帰っていただく。
そこから逃げて来たのだ。一休みしに来たのだ。身体が休めと言っているのだ。
なのに今日はうっかり加わってしまった。
食後弘嗣は部屋に僕は煙草。四五人のグループが両サイド二手に分かれて話していた。おそらくここで知り合った人達だろう。真ん中の空いてる席に座る。タバコの話で盛り上がっているようだ。
「船の中は540円のタバコが700円だ。」「だから俺は3カートン買ってきた」「私は5カートン」
「あら、シンガポールは一箱1500円ですよ」皆驚きの声。小柄な品のいい80歳くらいの女性が「ですからわたくし30カートン買って来ましたのよ。」「え! 3カートンじゃなく?」と僕。「わたくしこれで結構ヘビーなんですのよ。」皆口々に色々聞く。「前もってご近所のタバコ屋さんにお願いして30カートンは急ではねえ。段ボールも防水なんですって。一つの荷物としてそのまま船へ。便利になりましたわねえ。」これが飛行機だと無理だろうと僕は思った。いや そういう問題でもないか?
禁煙を決意して1カートンの僕は実行するか大損するか。

またタイトルから脱線した。