乗船前パナマと聞いただけで僕が思いついたのは、カリブ海、パナマ運河、そしてヘミングウェイの小説「老人と海」だった。
そしてカリブ海はイメージだけで地上の楽園で来たかったところだ。

少し調べてみた。中米と南米を結ぶ国で小さく細長い、中米側とはニカラグアと接し南米側とはコロンビアと接し中心にあの有名なパナマ運河がある。
パナマ運河は太平洋と大西洋を航路で行かれる人間工学の偉業だと言う。
首都はパナマで高層ビルやカジノがある地域と植民地時代の建物や先住民族が暮らす熱帯雨林の地域との2つに分かれるという。
カリブ海を囲むのはキューバとプエルトリコの島国。
僕の大好きな「老人と海」は舞台はカリブ海ではあるがキューバだった。

パナマのツアーもやはり2つの地域に分かれていくつかある。
僕達は熱帯雨林をボートとハイキングで廻るツアーを選んだ。
乗船する何カ月も前に自由行動は別にして申し込んだ18ケ所のツアーの内4ケ所が空席待ちだったが、乗船してから3ヶ所が取れ最後まで取れなかったのがこのパナマのツアーだった。
取れない場合は下船してから自由行動。僕は昨日まで点滴5本の体、港の近くを散策すればいいかと思っていた。ところが昨日から今日にかけ船内新聞でも放送でも治安がとても悪いので自由行動は控えて、港内のショッピングモールでお楽しみくださいの再三の注意。
確かに寄港地の危険度の数値が3で最悪はパナマのみ。因みに0の安心はイースター島のみ。僕は願ったりだったが元気な弘嗣を気の毒に思っていたところ、昨日熊木さんが安全な旧市街観光の送迎バスのツアーチケット1枚だけあるがどうかときた。彼女は別の行動を取るらしい。
僕は弘嗣に薦め弘嗣も喜んで昨夜から旧市街の安全な観光地を調べて楽しんでいた。おまけにカネフラで一緒のけんさんと女性3人行動が決まって、僕は一安心。まだ帰ってきていないので部屋でこれを書いている。

僕はと言えば午後2時頃一人でパスポートを見せ下船した。湾内にすぐに大きなきれいなDFS(デューティフリーショップ)があり酒、煙草、香水、土産物が一ヶ所にあった。
外に通じる道には昔はめずらしさで胸ときめかせ、今は厭な思いしかしない原住民が民族衣装で土産物を売っていた。裸で腰布を巻き赤い前垂れを付けて体のあちこちに入れ墨を描いている。写真で見た先住民族の「エンペラ族」だった。
「痛めつけ追い出して今は観光利用かよ」彼らに笑顔はなかった。
先を歩くと小さなゲートがありそこを抜けて初めて(外)だった。
それでも道は大きなショッピングモールに続いていた。
ブランド物や土産物、コーヒーショップ東京の銀座が一つのビルに小さくおさまったような整頓されたショッピングモール。
警官があちこちにいる。モールを離れ普通の通りを歩こうとするが雑談していた警官が僕を目で追っているのがわかる。
普通ならお構いなしだが体調もあり外務省からも指摘されている国。パナマらしい布製のでかいオーム鳥の描かれたでかいバッグを二つ買い包装もないので抱えて帰ることにした。ゆっくり見て回ったつもりだが1時間の散策だった。

パナマのクリストバル

パナマのクリストバル

原住民エンペラ族

原住民エンペラ族

地上の楽園なんていつどこで勘違いしたのだろう?
馴染めない国だった。
まあ1時間しか滞在しなくて言えた義理ではないが。