この作品は映画で何度か観たが小説を読むのは初めてだ。
旅行用にブックオフで定価500円を300円で買った。
原作はアメリカのジェームズ・M・ケイン。
何度か観たと言ったが7回も映画化されているとは知らなかった。
僕の記憶だと最初がやはりジャックニコルソンとジェシカラングで監督ボブ・ラフェルソンの1981年の作品だ。
白黒の古い作品も覚えているのでこれはルキノ・ヴィスコンティに傾倒していた頃観た彼の最初の長編監督デビュー作、1942年とある。
この二本は確実に観たがもう一本別も見た気がする。

片田舎で食堂を経営する旦那とその豊満な若妻(ジェシカ)たまたま来た流れ者(ニコルソン)と急激な恋に落ちる。映画でもその性描写は凄まじい。
若妻と流れ者は旦那を殺そうとするが一度目は失敗、二度目に成功する。
殺人容疑で捕まった二人は取り調べの中でお互いに疑心暗鬼になる。
お互いに自分のせいにするのではないかと。
証拠不十分でお互い自由の身になるが疑心暗鬼は消えず殺すか殺されるかをお互い白状する。
それでも一緒にいてジェシカが妊娠を告げる。
お互い信じ愛し合おうと結婚の手続きをした帰り、海に泳ぎに行く。
二人は見つめあいお互いが好きでたまらないことを確信する。お腹の子供にも夢を託す。ジェシカが泳ぎながら体調を崩す、男は急いで車を走らせ病院に向かう。下水溝の塀にぶつかり血だらけの彼女にキスをし続けたがキスは彼女に届かなかった。

行き場のない2人が旦那を殺してまでやっとやっと掴んだ幸せ。
妻殺しの罪で男は死刑囚となる。
男は神父に聞く。あの世はあるのか?と神父はあると言う。
男は車がぶつかった時一瞬でも女が俺に殺られたんじゃないかと思うんじゃないか。俺はあの世で絶対にやってないと言いたい。
そしてそれがどこであろうと二人は永遠に幸せになるんだ。
俺たちが一緒になれるようにみんなも祈ってくれ。

映画ではなかったシーンだ。
だから本は面白い。