一日目 ランチ後直ぐに部屋に戻り荷ほどきを続ける。
クローゼットはさほど広くはないがパーティー用のスーツや二人のかさばる冬物を掛けるには十分か。
他下着類を除いてはほとんど圧縮袋にいれたままにした。
圧縮袋は7月末に東急ハンズで買い掃除機を使わないので 直樹君と二人がかりでコチコチになるまで苦戦した。
ツインベッドの真ん中のテーブルは弘嗣 窓際の机は僕引き出しは均等に。洗面台は入れ歯の分僕が多少場所を取るが スキッ歯の弘嗣も歯にはうるさい。
まあ幡ヶ谷時代10年間一緒に住んだのでその辺は手際よく 大きなスーツケース二個とデカいバッグ二個を空にすることが出来た。

休む間もなく館内放送で避難訓練の指示だ。指示された場所に乗客達全員が廊下をウロウロ階段をオロオロする様は僕達も含めまるで今大火災にでもあったようだ。
指示された場所は救命ボートの保管場所に近い広間だった。
その時初めてご老人が多いことに気が付いた。ウロウロオロオロはするが皆慌てる様子もなく動きが悠長でまるで品のいいゾンビ(失礼)のようだった。
訓練解散後初めてデッキに出た。そう初めて!
台風一過の青空と穏やかな海の進行方向左手に陸が見える。
定かではないが多分千葉県の南房総か館山あたりではないか。
照りつける太陽の下のデッキで長いこと海と空と走る島を見ていた。

改めて世界一周の夢を追った。